2000年前後、アメリカ映画界はCGの台頭で、SFや超大作が好まれるようになり、ミュージカル映画ヒットしないという風潮にありました。しかし、それを覆した傑作が、この『シカゴ』です。さらにこの作品は、アカデミー賞作品賞、ゴールデングローブ賞作品賞を受賞するなど、数々の賞を総なめしています。

メイン・キャストはレニー・ゼルウィガー、リチャード・ギア、キャサリン・セタ・ジョーンズの豪華トリプル主演です。監督は、その後も『NINE』で、やはり好評を博したロブ・マーシャルが務めます。

『ブリジット・ジョーンズの日記』で、アメリカ人でありながら、イギリス英語をマスターしてアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたレニー・ゼルウィガーは、本作でもアカデミー賞主演女優賞でノミネートされています。

『真実の行方』、『愛と青春の旅立ち』のリチャード・ギアもタップ・ダンスを披露してくれますが、演技がいいだけに、正直違和感を覚えます。しかし、調べてみると彼は過去にミュージカル経験があるとのことでした。

リチャード・ギアは、本作では、ゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞しています。実は非常に多くの作品に出ているのですが、賞レースには縁がなく、賞を受賞したのは本作だけなのです。

そして、主演を喰ってしまったのが、『マスク・オブ・ゾロ』、『トラフィック』のキャサリン・セタ・ジョーンズです。圧倒的な美貌と自信に満ちたセクシーな様がこの映画を彼女のものにしています。本作ではアカデミー賞助演女優賞を受賞しました。

ストーリーは、ミュージカルにはあまり観ないヘヴィな内容となっているのですが、なぜか軽快なコミカルな展開をします。演者の吹き替えなしの歌とダンスも元気を与えられます。正直、とても面白い映画です。

1920年代前半のシカゴ、スターになることを夢見るロキシー・ハート(レニー・ゼルウィガー)は、歌手ヴェルマ・ケリー(キャサリン・セタ・ジョーンズ)に憧れていました。しかし、ヴェルマは浮気した夫と自分の妹を殺してしまいます。翌日、何食わぬ顔でショーに出演するヴェルマの元に警察がやってきて、逮捕されます。

それかひと月後、ロキシーは愛人との口論末、相手を撃ち殺してしまいます。すぐに逮捕され、留置場に送られます。ところが、留置場で憧れのヴェルマに出会うのです。ヴェルマには、弁護士ビリー(リチャード・ギア)がついています。

ロキシーは、ヴェルマと仲良くなろうとしますが、ヴェルマはそれを拒否します。ところが、ビリーがロキシーの弁護につき、マスコミ報道を捜査し、一夜にしてスターになるのです。ヴェルマはロキシーに二人でデュエットを組むことを提案します。

しかし、今度はロキシーがそれを拒否し、二人はライバル関係となっていきます。その後、話は二転三転していくのですが、殺人に刑務所など、重き内容となっているのですが、不思議にこれが妙に軽快なコミカルに展開するのです。

見終わってみると、キャサリン・セタ・ジョーンズのヒールぶりのイメージが強く残る映画でした。