Month6月 2017

バージョンアップして帰ってきた『ブルース・ブラザース2000』

2016年秋には、シーズン42になった、アメリカの公開コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』。その番組人気コーナー『ブルース・ブラザース』から生まれたバンドを主人公に、1981年に映画化された作品の続編です。『ブルース・ブラザース2000』となっていますが、実際に製作されたのは1998年です。

1981年版同様、黒のソフト帽、サングラス、スーツ、ネクタイ、靴という黒ずくめで、まるでMen In Black。ブルース、R&B、ソウルなどの、往年の黒人ミュージシャンに対して敬意を込めています。前作のように体を張ったコメディ映画にアクションとミュージカルの要素を加えた作品となっています。

やはり、本物の豪華ミュージシャンが多数出演することで、他のミュージカル映画とは異なる質の高さをうかがえます。前回に引き続き、音楽界からは、ジェームス・ブラウン、レイ・チャイルド、スティーブ・クロッパーなどに加え、エリック・クラプトンやB.B.キングも出演し、世界中が驚きました。

このことは、出演者たち自身がキングやクラプトンをどうやって呼んだのだ、と不思議がるほどでした。キングやクラプトンの新ミュージシャンは、《ルイジアナ・ゲータ・ボーイズ》という、《ブルース・ブラザース》とバンド対決をするグループの一員として出演します。

このシーンだけでも、ミュージカル・コメディ映画ということを忘れて、まるで豪華アーティスト競演のライブ映像を観ているような感覚になります。

監督は、前作と同様ジョン・ランディス。脚本も同じくジョン・ランディスとダン・エイクロイドの共同執筆なので、基本的には設定は前作を踏襲していますが、困ったことに、主演の一人ジョン・ベルーシは、亡くなっています。

当初の企画段階では、ジョン・ベルーシの実弟、ジェームス・ベルーシが出演する予定で脚本の原案が書かれていました。彼は実際のオリジナル、《ブルース・ブラザース》バンドのメイン・ヴォーカルを担っています。もちろん、本人もノリノリで出演の予定でいました。

ところが、ダブル・ブッキングだったのです。当時のジェームス・ベルーシは、超売れっ子で、テレビドラマの契約がかぶっていたのです。ご存じの通り、アメリカは契約社会です。あらゆることが契約書で決められており、ドラマと並行しての他の出演はできないことになっていたのです。

そうして脚本は大幅に書き換えられることになり、兄弟二人の主演という設定から、《ブルース・ブラザース》バンドそのものを主演という発想に変更されることになりました。

18年の刑期を終えたエルウッドに兄ジェイクの訃報が入った。失意のエルウッドは、かつて過ごした孤児院を訪ねるとバスターという少年と意気投合し、昔の仲間を誘い《ブルース・ブラザース》バンドを復活させることになります。

しかし、バスターを勝手に連れ出したことで、警官と孤児院に追われる羽目になります。逃避行中、バンド・コンテストに出場することになり、ルイジアナ・ゲイター・ボーイズと争うことになります。

新メンバーでの、《ブルース・ブラザース》と《ルイジアナ・ゲイター・ボーイズ》のバンド合戦を、ぜび、お楽しみください。

人気テレビ番組のコーナーから生まれた『ブルース・ブラザース』

2016年秋には、シーズン42になった、アメリカの公開コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』。その番組人気コーナー『ブルース・ブラザース』から生まれたバンドを主人公に映画化した作品です。体を張ったコメディ映画でありながら、アクションとミュージカルの要素を加えた作品です。

この映画が他のミュージカル映画と一線を画すのは、一般にミュージカル映画とは俳優陣が歌やダンスを披露するのですが、本作は本当のミュージシャンが演者となって演技をするところでしょう。だから、音楽の質が高いのですね。

ショッピングモール内カーチェイスやビルの破壊などCGのない時代のアナログの迫力でギリギリのタイミングがハラハラさせてくれますが、演者たちの無表情な演技が笑いを誘います。

本作の完成時は、白人にはウケないという理由で、試写会後では15分短縮されるなど、決して関係者からは歓迎されていなかったそうですが、根強いファンの後押しで、DVDでは完全版となりました。

1981年製作。本作は、黒のソフト帽、サングラス、スーツ、ネクタイ、靴という黒ずくめで、まるでMen In Black。ブルース、R&B、ソウルなどの、往年の黒人ミュージシャンに対して敬意を込めている意味もあります。

主演は、『ゴースト・バスターズ』シリーズなどのコメディ映画で活躍するコメディアンのダン・エイクロイドと、人気絶頂の翌年1982年に、33歳の若さでホテルの一室で薬物中毒で亡くなったジョン・ベルーシとのW主演。

実際のミュージシャンや特別出演の豪華さが話題になり、未だに根強いファンがいます。音楽界からは、ジェームス・ブラウン、レイ・チャイルド、スティーブ・クロッパーなどの本物ミュージシャンが出演しています。

さらに、変わり種の出演では、突然、車の名からバズーカ砲を撃ってきたり、平然とビルを爆破する謎の女に『スターウォーズ』シリーズのレイア姫を演じたキャリー・フィッシャー、納税課の職員に名監督スティーブン・スピルバーグが演じていますので、お見逃しないようにしてください。

ジェイクは3年の刑期を終え、仮釈放され刑務所から出所、弟のエルウッドがブルース・モービルという廃車寸前のパトカーで迎えにきます。二人はチェイスを繰り返しながら、幼いころに世話になった孤児院に挨拶にいくが、税金が払えず、立ち退きの危機にあったことを知ることになります。

二人はジェームス牧師の移動礼拝に出席し、説教を聞くことになります。するとジェイクはそこで神の啓示を受け、バンドを再結成することになります。

孤児院を救うために、昔のバンド仲間を引き入れ《ブルース・ブラザース》が再び結成されるのですが、彼らをイリノイ州やシカゴ州の警官、州兵、ナチ極右団体、カントリー・バンドが行く手を阻みます。そして、なぜか二人の命を狙う謎の女など、その先は多難となっています。

ストーリー展開も、流れるミュージックも、他のミュージカル映画とは異なる異色のミュージカル映画をお楽しみください。

名監督ウッディ・アレンのミュージカル『世界中がアイ・ラブ・ユー』

監督、脚本、主演をウディ・アレンが務めた、1997年製作のミュージカル・コメディ映画です。まずは、豪華なキャストに驚かされます。さすがは、ウディ・アレン、これだけの豪華キャストを集結させて、ミュージカルに挑戦させるとは!

主演のウディ・アレンは、長年の夢だったミュージカル初挑戦となります。その積年の思いがこもった野心作です。彼の功績をご紹介しましょう。アカデミー賞には、史上最多の24回のノミネート、監督賞(『アニー・ホール』)を1度、脚本賞を3度受賞しています。

日本では馴染みがない俳優ですが、ウディ演じるジョーの親友、元妻の現夫の役をTVドラマシリーズ『M*A*S*H』で11年間もホークアイ・ピアス役を演じてきたアラン・アルダ。彼がピアノ伴奏で、感動的な歌を披露してくれます。

日本では、あまり知られていない『M*A*S*H』ですが、戦場コメディで、最終回の視聴率は77%という驚異的な記録を打ち立て、アメリカでのテレビ史上、最も高い記録となり、未だに破られていません。

ジョーの元妻を演じるのは、80年代から90年代にかけてブレイクし、コメディ映画の出演が多かったオスカー女優ゴールディ・ホーン。ラストの川のほとりでジョーとダンスするシーンは、ヘタなSFアクションよりも素晴らしいものとなっています。

指輪ごとケーキを食べてしまうジョーの娘役に、『チャーリーズ・エンジェル』シリーズで、華麗なアクションで魅せてくれるドリュー・バリモア。婚約中なのに、危険な男性に恋してしまいます。

そして、その婚約者に『ハンニバル』、『真実の行方』で、主役を喰ってしまうほどの強烈な演技をみせたエドワード・ノートン。オープニングは、彼の歌から始まり、正直驚きました。宝石店でのステップは華麗とはいえませんが、なかなか観ることのできないシーンです。

ところが、このシーンは、エドワード・ノートンの歌とダンスがうますぎて、ウディ・アレンがもっと下手に演じるように指導したといわれています。その理由は、本作の彼は、どちらかというとダメンズの役だったからです。

本作が『真実の行方』と同じ年に製作されていたのにも驚きます。『真実の行方』で、あまり衝撃的なデビューをしましたので・・・、まだご覧になっていない方は、そのあたりを念頭にご覧ください。

そして、まだ少女のようなナタリー・ポートマンにも注目です。とってもキュートで、街を歩く男の子に一目惚れしてしまうのですが、フラれてしまい号泣しながら歌うシーンは、やはり大女優の予感を感じさせる演技でした。

当時すでに大スターだったジュリア・ロバーツも素敵です。彼女が映ると画像が明るく見えてしまうのは、そういう撮影なのか、それとも彼女のオーラなのか、とにかく華があるのです。そんな彼女も、ソロ・パートを与えられています。

さらに、仮釈放された凶悪犯役で、ティム・ロス。『レザボア・ドッグス』や『パルプ・フィクション』でのワルのイメージそのままで登場するのですが、やっぱりワルでした。でも、しっかりソロで甘く歌う場面が用意されていて、女性をおとしていくのです。

主要キャストに必ずソロ・パートが用意されていて、全員が吹き替えなしの体当たりで演じています。とにかく映画の最初から最後まで、ずっと誰かが恋をしていて、恋に悩んでいる、素敵なミュージカル映画です。

全編をABBAのヒット曲でつづる『マンマ・ミーア!』

日本人の中にもファンが多いABBAの曲をベースにした、陽気なミュージカル・コメディ映画です。タイトル『マンマ・ミーア!(Mamma Mia!)』は、1975年のABBAの曲から採用されました。その意味は、英語でいえば “Oh! My god!” 、日本語では「なんてこった!」のような意味です。

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2001年にブロードウェイで公演されたミュージカルを映画化した作品ですが、映画批評の専門家からは、厳しい評価を受けたものの、制作費5200万ドルに対して、興行成績は6億680万ドルという成果を上げ、イギリスでは『タイタニック』を越え、史上最高のヒット作となりました。

普段はミュージカルのイメージのない俳優陣が歌とダンスで魅了します。アカデミー女優として名高い名女優メリル・ストリープがヒロインの母親役を演じ、体を張った演技で楽しませてくれます。大声で歌い、ダンスを披露し、海に飛び込むなど、本人よりもそれを指示した監督や製作者の度胸に脱帽します。

そして、007シリーズでおなじみのピアース・ブロスナンの歌とダンスを披露してくれます。観ているこちらが照れてしまいそうな新鮮な演技を魅せてくれますが、こちらは残念ながらゴールデンラズベリー賞最低助演男優賞受賞という不名誉な賞を受賞しました。

メリル・ストリープがソロで歌う” Mamma Mia!”, 島民の女性陣との “ Dancing Queen ”のシーンは、ミュージックビデオを観てるようです。さらに、オスカー女優メリル・ストリープと007ジェームス・ボンドのピアース・ブロスナンのデュエットなどは二度と観ることができない貴重なシーンです。

そして、最近テレビドラマ・シリーズ『プリーチャー』でバンパイアを相手に戦う薄汚れた神父役でブレイク中のドミニク・クーパーがヒロイン、ソフィーの新郎の役を務め、同じ人物とは思えないほどの初々しい歌とダンスを披露してくれます。まだ、当時は無名の若手だったのですね。

本来ヒロインであるソフィー役のアマンダ・セイフライドがとてもキュートでかわいいのですが、アクの強い出演者が多いせいか存在が薄くなってしまいました。彼女も吹き替えなしの体当たりで歌と演技で魅了してくれます。しかし、名優が多すぎたせいか、どうしても影が薄くなってしまったのがお気の毒でした。

舞台はギリシャ、エーゲ海にある、とある島。その島にあるホテルのオーナー、ドナ・シェリダンは、娘のソフィーと母娘二人で暮らしています。そのソフィーが結婚することになり、島にドナの古い友人が集まり始めるのです。

ところがソフィーは、自分の本当の父親のことを知らない。そこで母ドナの日記を盗み読みすると、なんと父親の候補が三人もいることが分かります。ソフィーは、ドナに内緒にこの三人の男性にも結婚式の招待状を送るのでした。

ソフィーの夢は本当の父親とバージン・ロードを歩くことだったのです。そして、ドナの知らない間に三人の父親候補は、島に戻ってくるのですが、そこから騒動が・・・。一体、本当の父親はだれなのでしょう?

白く輝くエーゲ海をバックに、全編に伝説のポップ・グループABBAのヒットナンバーが流れだすと、思わず体がリズムを刻みます。イギリス史上最高のヒット作を、どうぞご覧ください。

不滅のミュージカルとして、何度も上演された名作『美女と野獣』

映画、テレビドラマ、アニメ、舞台、バレイと、過去に何度も表現されてきた名作です。日本でも宝塚の舞台、沖縄の舞踏でも上演され、劇団四季におけるミュージカルとしても有名です。その原点は、ガブリエル=スザンヌ・ド・ヴィルヌーヴによって書かれたフランスの異類婚姻譚です。

1994年に初めてディズニーがブロードウェイの舞台に進出しました。その記念すべき第1作がこの『美女と野獣』です。ブロードウェイでは、5,461回もの公演を行い世界中の人たちを虜にした傑作ミュージカルです。

1946年、1991年(アニメ)、2009年、2014年と映画化されており、さらに2017年には、エマ・ワトソンが主演で再び映画化されます。これほど愛されている作品も珍しいのではないでしょうか。2020年には、東京ディズニーランドに、『美女と野獣』のアトラクションも完成します。

美しい村の娘ベルが、魔女の魔法によって野獣のような姿になってしまった城の王子に幽閉されてしまうのですが、勝ち気なベルはすんなりと王子の言うことは聞きません。しかし、徐々に心を交わせ合うようになります。やがて二人は手を取り合ってダンスをします。

このシーンは、有名ですね。黄色いドレスのベルが舞う姿は、名場面です。どの映画においても、アニメにおいても、舞台においても、このシーンでのベルの黄色のドレスは定番となっています。

人をその容姿で判断してはいけないといいう戒めであり、人を愛するという意味、真実の愛の姿がどのようなものであるかを説いた人間ドラマです。

深い森の中に城があります。そこに老女が訪ねてきます。その城に住む王子は、人を見た目で判断する冷酷な性格でした。そこにある夜、一人の醜い老婆が訪れます。老婆は、バラを1本渡すので、代わりにここで泊めさせて欲しいと懇願します。

しかし、王子はその老婆の醜さを理由に、願いを退けます。ところがその老女の真の姿は美しい魔女だったのです。魔女は王子の心の清さを試しにきたのでした。魔女は王子に試練を与えます。王子を醜い野獣の姿に変えてしまったのです。

そして、王子を戒めることなく自由気ままにさせていた召使いたちに対しても魔法をかけ、ある者は燭台に、ある者はティーカップなど、家財道具に変えてしまったのです。

美しい魔女は王子に鏡とバラを渡し、言います。「バラの花びらが散るまでに真実の愛を見つけなければ、二度と魔法が解けることはない」と。王子は絶望の中生き続けるのです。そして、森奥深い城を訪れる者はないまま10年の歳月が流れます。

そのころ町ではうぬぼれ屋のガストンが、ベルという美しい娘にプロポーズするのですが、ベルはうぬぼれ屋のガストンを好きにはなれません。

ある日、ベルの父が森に迷い込み王子の城に捕らわれてしまいます。ベルは自分が身代わりになるからといって、父を解放してもらいます。やがてベルは横柄な王子の態度に腹を立て、城から逃げるのです。

アニメや映画化も多いので観たことのある方も多いと思いますが、それぞれを見比べてみてはどうでしょうか。

『塔の上のラプンツェル』で、金に輝く長い髪に憧れる

長編ディズニー映画第50作品目のメモリアル映画です。生まれてから一度も髪を切ったことのないプリンセスは、歌を歌うと髪が金色に輝くという設定で、ミュージカル映画としても適したものとなっており、それのおかげで窮地のシーンで助かることができます。

その金色の髪の毛を切らない理由は、特別な力は秘められているため。切ってしまうと、その力は能力を失ってしまい、栗色になってしまうから。そのため、ラプンツェルの髪の毛は、長さ21メートもあります。

実は多くのプリンセスを生んだディズニー映画ですが、魔力を持ったプリンセスは、このラプンツェルが初めてなのです。原作は、グリム童話の『髪長姫』。企画が初めて上がったのは、1937年、実際に2映像化されたのが、2010年という長きに渉って構想されてきた物語です。

では、なぜここまで映像化されてこなかったのでしょう。実は、従来のアニメーションでは、満足いく髪の毛の質感を出すことができなかったからなのです。CGの進化において、やっと満足いく長い髪の質感を出すことができたのです。

主題となる長い髪を表現することに、80年近くも掛かったのですね。そして、できあがったものは、とてもCGとは思えないその髪の質感に、世界中の女の子があこがれました。

原題は『Tangled』で、日本語では、「もつれる」「からまる」という意味で、ラプンツェルの長い髪の毛意味しているのですが、暗に『男心』や『欲』が絡むという意味を含んでいるともいわれています。『男心』は、登場するフリン・ライダー、『欲』はラプンツェルを長年塔に幽閉していたゴーテルのことでしょうか。

ミュージカル映画としても話題となり、アカデミー賞歌曲賞ノミネート、ゴールデングローブ賞主題歌賞をノミネートされました。劇中の楽曲は20曲にもおよび、サウンドトラック・アルバムもヒットしました。

ある王国の森にある高い塔の部屋に、ラプンツェルは一人で暮らしています。母のマザー・ゴーデルから、塔の外は危険がいっぱいなので、塔から出ることを禁じられたままラプンツェルは18年間もそこにいます。

毎日眺める夜空、1年間で1日だけ、空に無数の灯りが上がるときがあります。その日は、自分の誕生日。不思議に思っているラプンツェルは、その日だけ灯りを見たいといって塔の外へ出すように頼むですが、ゴーテルはそれを拒否します。

そんなある日、大泥棒のフリン・ライダーは、城からティアラを盗み出し、衛兵から逃げ回っています。そこに高い塔を見つけ、壁をよじ登って侵入するのですが、突然頭部を殴られ、気を失ってしまいます。

フリンを殴ったのは、ラプンツェル。彼女は、フリンの盗んだティアラを隠します。目を覚ましたフリンに、灯りが上がる場所に案内してくれれば、ティアラを返すと言って、初めて塔の外に出ることになります。

ゴーデル、衛兵、裏切った泥棒仲間など、多くの追っ手を振り払いながら、ラプンツェルとフリンの逃避行は続き、やがて真っ暗な洞窟に閉じ込められてしまいます。そこに水が押し寄せ絶体絶命のピンチを迎えます。

ぜひとも、愛とスリルに満ちた、ミュージカル・アニメをご堪能ください。

アニメとしては異例、数々の記録を打ち立てた『アナと雪の女王』

ミュージカル映画の中には、アニメ映画も多いですよね。もとは子供たちのために作られた映画でも、そのスケールは、たかがアニメとはいえないほどのスケールとストーリーが展開され、流れる音楽も心に響きます。

その中でも、『アナと雪の女王』は圧倒的な人気を誇り、公開当時は記録的な動員数を打ち立て、数々の記録を更新、リピーターも続出しました。そのあまりの人気ぶりに、映画を観ながら観客も一緒になって歌うバージョンが上映されるなど、その話題は尽くことなく、『アナ雪』現象は瞬く間に日本中に広がりをみせました。

興行成績は、わずか公開128日目で国内歴代第3位、世界歴代第5位を獲得、アニメ映画としては全世界歴代第1位となりました。主題歌『レット・イット・ゴー』は、世界中でヒットし、アカデミー賞歌曲賞を受賞しました。日本でも女優松たか子さんの力強い歌唱力で、大ヒットしたのも記憶に新しいところです。

それはまるで一種の社会現象のようで、多くの人たちがこぞってCDやDVDを買い求め、やはり販売数においても記録を塗り替えるほどの大ヒットとなりました。

ディズニー映画史上初の二人のプリンセスが主人公となるWヒロイン作品でした。女の子のあこがれのプリンセスが一つの映画に二人も登場することで圧倒的に支持され、関連グッズも多数販売されました。

そして、魔法が使える者を魔女として悪のキャラクターとして定着していたイメージを覆したことも、この映画の評価されるところといえます。

物語の舞台は、架空の王国アレンデール。王女のエルサは生まれたときから、触ったものを凍らせたり、雪や氷をつくる魔法の力を持っていました。幼い姉妹のエルサとアナは、アナの魔法で部屋中を凍らせ遊ぶことが大好きです。

ある夜、エルサは魔法をコントロールできずに、アナにケガをさせてしまいます。そのためアナは意識不明に陥ってしまいます。国王は森の妖精トロールに救いを求め、無事助かるアナなのですが、エルサの魔法のことは記憶から消えてしまいました。

それからというもの、自分の魔法によって、だれも傷つけたくないエルサは部屋に引きこもる生活が始まるのです。しかし、その理由はアナには分からないまま、10年の歳月が流れます。

そしてある日、国王と王妃は、海難事故に遭い命を落としてしまいます。二人だけの肉親になってしまったエルサとアナでしたが、エルサはやはり部屋からは出てきません。

さらに3年後、エルサは成人し、女王として即位するための戴冠式に出席することになりますが、やはり魔法をコントロールすることができずに、周りから怪物といわれてしまい、雪深いノースマウンテンで一人で生きていくことを決意するのです。

アニメのストーリー展開も魅力ですが、やはり予告編で何度も流され、脳裏に刷り込まれた主題歌『レット・イット・ゴー』と、エルサの魔法によって作り上がっていく氷の城のシーンの影響は非常に大きかったといえます。

マジメ男子高校生と不良女子高生の恋の行方『グリース2』

前作『グリース』から2年後の設定となるライデル高校を舞台にキャストを一新した青春ミュージカル映画です。高校や不良グループの設定は踏襲しながらも、前作の話題は触れずに新しいストーリーが展開されます。

製作は前作と同じく、ロバート・スティグウッド、アラン・カー。そして、前作で振り付けを担当したパトリシア・バーチが監督を務めます。本作が彼女にとって、最初で最後の監督作品となります。

前作は人気絶頂のジョン・トラボルタとオリビア・ニュートン・ジョンという二大スターをW主演とし世界中で話題になりましたが、本作では新人のマックスウェル・コールフィールドとミシェル・ファイファーというほぼ無名の二人が主演を務めます。さすがにこの二人には荷が重かったようです。

残念ながら、興行成績は奮わなかったものの決して悪い出来ではなく、さすが元振り付け師が監督しただけあり、場面に合わせた音楽とダンスは印象深い仕上がりになっています。もっとヒットしても良かったのでは?と思いますが、前作の大スター2人の競演が強烈すぎたのかもしれませんね。

主演のマックスウェル・コールフィールドは、この先あまりヒット作に恵まれませんでした。なかなかの二枚目で黒い革スーツ姿も結構イケているのに残念です。

もう一人の主演、ミシェル・ファイファーは本作の時点で映画出演はまだ3作目の初主演で、初々しさが感じられます。ピンクのジャンバーの腕をまくった姿がキュートで、日本人好みの可愛らしさが印象深いですね。

彼女は、その後もキャリアを重ね、1989年には『恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」にて、アカデミー主演女優賞にノミネートされます。1992年には、『バットマン リターンズ』でキャット・ウーマンを演じたことでも話題になりました。

ミュージカル映画『ヘアスプレー』では、ジョン・トラボルタと競演したため、ライデル高校の先輩、後輩を同時に観ることができたのです。新旧の『グリース』の主演の競演というファンにはたまらないものですね。

ミシェル・ファイファーは『ヘアスプレー』では、冷酷なプロデューサー役を演じ、力のある歌を披露してくれましたが、『グリース2』では、あふれんばかりの若さ全開の歌をお披露目してくれます。

ダニーとサンディが卒業して2年後のライデル高校にサンディのいとこマイケルが転校してくるところから、物語は始まります。マイケルは転校初日にステファニーに一目惚れします。

マイケルは勉強がよくできる優等生、対するステファニーはピンク・レディースという女不良グループのリーダー。前作とは、男女の立場が逆になっています。

マイケルはステファニーに相手にしてもらえないことを悩んでいると、友達の小学生の妹から「彼女と仲良くなりたければ、バイクがないとダメよ」とアドバイスをもらい、クラスメートの宿題で稼ぎはじめ、バイクを手に入れることになります。

ある日、ボーリング場でT・バーズが敵対する不良グループと一触即発になりそうな場面に、突然黒ずくめのバイクの男が現れ、事なきを得るのですが、ステファニーは、この謎のバイクの男に一目惚れしてしまいます。

全編に流れる60年代のロック・ミュージックが心を躍らせる青春恋愛ムービーです。

不良高校生とマジメ女子高生の恋愛ミュージカル『グリース』

1971年に舞台化されたブロードウェイ・ミュージカルの映画化です。1970年代『サタデー・ナイト・フィーバー』で人気絶頂だったジョン・トラボルタと数々のヒット曲を生み出したポップクィーンのオリビア・ニュートン・ジョンという、二大スター夢の共演の青春ミュージカル映画です。

トラボルタのキレたダンスと高い歌声、そして、オリビアの歌唱力に世界中の若者が魅せられました。プラムで踊る二人のダンスに思わず笑みも浮かびます。

1950年代の、まさにアメリカの高校生というシチュエーションに、多くの日本の若者が憧れました。リーゼントの革ジャン姿で派手なアメ車を乗り回す男子高校生、おしゃれに夢中な女子高生など、日本の高校生徒とのあまりの違いに驚かされました。

サウンドトラック・アルバムも世界中で大ヒットしました。1978年のアメリカ国内で2番目に多く売れた記録を残しています。ちなみに第1位の売り上げをあげたサウンドトラックは、ジョン・トラボルタ主演の『サタデー・ナイト・フィーバー』です。

『グリース』のサウンドトラック・アルバムは世界中でヒットしました。1978年には、アメリカBillboard200、全英アルバムチャート、オーストラリアのケント・ミュージック・レポートでそれぞれ1位を獲得しました。翌年の日本でも、オリコン週間LPチャートで1位を獲得しました。

さらに、第51回(1979年)アカデミー賞で、劇中でオリビア・ニュートン・ジョンが歌った、ジョン・ファーラーの『愛すれど悲し(Hopelessly Devoted to You)』が歌曲賞にノミネートされるなど、話題になりました。監督は、『青い珊瑚礁』、『青い恋人たち』など、若者の青春ストーリーを得意とするランダル・クレイザーです。

サマー・バーケイション、避暑地で知り合ったダニーとサンディは、ひと夏の恋に落ちるのだが、夏休みの終わりとともに二人の別れが訪れます。

ひと夏の恋で終わったはずの二人だったが、サンディは父親の転勤で転校することになった。ところが、その高校には、偶然にも避暑地で知り合ったダニーがいる高校でした。サンディは思わぬ再会に歓喜するのですが、実はダニーはT・バーズという不良グループのリーダーだったのです。

一方のサンディは、お金持ちのお嬢様で超マジメでウブな女子高生。ダニーは、テカテカのリーゼントに革ジャンをまとった不良グループのリーダーという立場、学校ではいつもクールにキメているので、仲間の手前サンディに対して、ついつれない冷たい態度で接してしまいます。

つれない素振りをするダニーに対して、サンディは戸惑い友達に相談します。その後、誤解が解けるとダニーとサンディは再び恋に落ち、ダンスコンテストでペアを組むことになります。

しかし、コンテスト当日、T・バーズと敵対する不良グループ、スコーピオンズの悪巧みによって、ダニーのダンス・パートナーの相手からサンディが外されることになってしまいます。そして、いよいよT・バーズとスコーピオンはカーレースで決着をつけることになります。

あまりに環境の違う二人の恋の行方を、軽快な音楽とともにお楽しみください。

スターを夢見る女子高生のサクセスストーリー『ヘアスプレー』

若いころ、だれもが憧れる、自分が有名スターになって活躍する世界。しかし、ほとんどの者が、その夢の世界を夢のままで終わらせてしまう切ない現実。でも、ミュージカル映画は自分の代わりに夢を実現してくれます。

そんな元気の出る映画『ヘアスプレー』。時代は、1960年代、まだ人種差別が残るアメリカ。主人公は、体型など気にしない、太めの女子高生トレーシー。彼女たちが人種差別と戦い、夢を実現しようとするサクセスストーリーです。

日本の女子高生とも変わらぬ日常、学校の授業はつまらない。授業後にテレビで放映されるダンス番組のイケメン・アイドルに憧れ、テレビの前で歌い踊る毎日、トレーシーもそんな普通の女子高生の一人。その彼女がオーディションに出ることになります。

アダム・シャンクマン監督の2002年製作のノリのいいミュージカル映画です。実は、本作は1988年のジョン・ウォーターズ監督の映画を基にしたリメイク作品です。

主演は《歌って踊れるぼっちゃりティーン》オーディションで、見事1000人の中から選ばれた、当時アイスクリーム屋でアルバイトをしていたニッキー・ブロンスキー。とても新人とは、思えない度胸のある役柄を無事こなします。

実は彼女、この映画のオーディション前に、同じ『ヘアスプレー』の舞台版でオーディションを受けていましたが、当時15歳の年齢が若すぎるという理由で落ちています。

同じ役柄を、今度は見事勝ち取ったのですね。まさにリアル版アメリカン・ドリームといったサクセスストーリーのようです。ところが、その後は、役に恵まれず、出演作は、わずか2本だけ。

現在は美容師の資格をとり、サロンで働いているそうです。やはりアメリカン・ドリームは夢か・・・と思ったところ、彼女は「私は決して夢を見失わないつもり」とツイート、現在でも女優の仕事のオーディションを受け続けているそうです。

その前向きな彼女の姿勢を応援したくなりますね。まるで劇中のトレーシーそのもののようです。またスクリーンで活躍する彼女を待ち続けたいと思います。

おしゃれとダンスに夢中な女子高生トレーシーは、毎日放映される人気ダンス番組『コニー・コリンズ・ショー』のダンサーになることを夢見ています。ある日、番組のキャストに欠員が出ることになり、オーディションが開催されることになります。

トレーシーは、母エドナの反対を押し切ってオーディションに参加することにしますが、体型を理由に、番組プロデューサーに落とされてしまいます。トレーシーは、失意の中、学校で居残りさせられてしまうのですが・・・。

オープニングからノリのいい音楽が流れ、この映画の方向性がうかがわれます。キャストも豪華です。トレーシーの父親役に『ディアハンター』、『デッドゾーン』の怪優クリストファー・ウォーケン。彼の歌とダンスが観られる作品も他にはありません。

そして、『グリース2』では不良少女、『バットマン・リターンズ』でキャット・ウーマンを演じたミシェル・ファイファーが貫禄あるプロデューサー役で、歌とキレのいいダンスを披露してくれます。

また、ハリウッドの名俳優ジョン・トラボルタが出演していることも話題になりましたが、ご覧いただいて分かったでしょうか。キレキレのダンスを披露してくれます。

そして、気付かれる方はまずいないと思いますが、1988年版の監督ジョン・ウォーターズがチョイ役で登場します。そのあたりも楽しんでご覧ください。

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