『ドレミの歌』、『私のお気に入り』、『エーデルワイス』など、全編にわたって数々の名曲が綴られる映画史の残る名作ミュージカル映画です。アカデミー賞において、作品賞、監督賞、編集賞、編曲賞、録音賞の5部門でオスカーを獲得しました。

学校関係で教材として試写されることも多い作品ですが、音楽、歴史、美しい風景、人間愛などを吸収しやすい小学校で鑑賞する機会を多くして欲しい作品です。

ため息が出るほど美しいアルプスの風景をバックに名曲を聴いていると、これだけで十分癒やされます。それに加えて、激動の歴史を背景にスローな恋愛模様を描くことで、何世代も受け継がれるべく名作となりました。

辛いこと、悲しいことがあったとき、この映画を観れば、すべて忘れてしまいそうな、明るく元気の出る作品ですので、ご家族そろって楽しんでいただきたいです。

派手なアクションや、特撮CGが素晴らしいSF映画もいいけれど、ときには心が元気になるこのような映画もおすすめです。ミュージカル映画ってやっぱりいいなぁ、と思わせる作品です。

監督は『ウエストサイド物語』のロバート・ワイズ監督。『ウエストサイド物語』と本作で、ともにアカデミー賞作品賞と監督賞を受賞しています。その後も、『アンドロメダ』、『スタートレック』などのSFなども手がけたハリウッドで最も素晴らしい監督の一人です。

主演は、もともとは舞台女優だったのですが、ウォルト・ディズニーがなんとしてでも『メリーポピンズ』で、起用したかったといわれるジュリー・アンドリュース。映画デビューでいきなりアカデミー賞主演女優賞を獲得した実力派女優です。

舞台は、1938年のオーストリア、ザルツブルク。トラップ家は、7人の子供たちに対して古風で厳格な教育方針を掲げています。父親のトラップは、数年前に妻を亡くしてしまいました。そのため子供たちの面倒をみるために家庭教師を雇うのですが、元気いっぱいの子供たちはやんちゃ盛りで、どの家庭教師も長続きしません。

そこに修道院の院長の命を受けて、修道女のマリアが家庭教師としてやってきます。早々にカエルのいたずらを受けたりしますが、マリアはそれを歓迎の意として受け止めるのでした。
彼女の温かい人柄、音楽や歌を歌うことの素晴らしさを伝えるなど、子供たちはすぐにマリアのことが好きになっていきます。しかし、父親のトラップはマリアの教育姿勢に納得がいかずに、衝突が絶えません。

ある日、マリアは子供たちが軍服のような服を着ていることを不憫に思い、部屋のカーテンを使って遊び着を作り、山に遠足に出かけます。そこで、子供たちがいたずらをする理由をたずねます。子供たちは父親の気を引きたかったからだったのです。

そこでマリアは、子供たちに歌を歌って父親の気を引くことをすすめるのですが、子供たちは知っている歌がないことを知って驚くのでした。マリアは子供たちにドレミの階名を教え始めるのでした。

ところが、マリアは自分がトラップに惹かれていることに気づくのでした。思いを抱いたまま悩んでいるマリアでしたが、トラップの再婚話が持ち上がり、心の内を伝えることができないまま、修道院に戻ります。

3時間という上映時間ながら、それを感じさせない素晴らしい脚本で、最高のミュージカル映画といって過言はありません。