この映画のテーマは戦い、夢、希望、愛『レ・ミゼラブル』

2012年に製作されたミュージカル映画『レ・ミゼラブル』は、今までのミュージカル映画とは異なる斬新な撮影方法をとっています。監督は『英国王のスピーチ』でアカデミー賞監督賞を受賞したトム・フーパーです。

では、どのような撮影法なのでしょう。一般的なミュージカル映画とは、まず撮影をしてから、声や音楽をあとから乗せる方法をとります。しかし、本作は撮影時歌った声をそのまま利用しています。よって、役者の感情がそのまま伝わるのです。

きれいな歌声を乗せるのではなく、その現場と歌っている声が、そのまま本番として使われます。当然、吹き替えもできません。役者にとっては、まるで舞台で演じている緊張感があるはずです。

その緊張する撮影方法で臨んだのは、驚くべき俳優陣でした。映画『X-MEN』シリーズのヒュー・ジャックマンが主演のジャン・バルジャンを演じます。アクション俳優のイメージが強いので、配役に選ばれたときは驚きましたが、彼はミュージカル舞台も出演しているのですね。

そして、同じくアクション俳優のイメージが強い、ラッセル・クロウが、ジャン・バルジャンを追い詰めるジャベール警部の役を務めます。彼もミュージカルのイメージはないのですが、若い頃はロックバンドのメンバーだったそうです。

娘をジャン・バルジャンに託すフォンテーヌの役に、今ハリウッドで最も売れている女優、『プリティ・プリンセス』、『マイ・インターン』のアン・ハサウェイが務めます。

この豪華俳優陣が、何度も映画化、舞台化、さらにアニメ化された名作『レ・ミゼラブル』をつくりあげます。過去のどの作品よりも、最も感動的な『レ・ミゼラブル』となったできあがりとなりました。

19世紀のフランス、民主化が終わり再び王政が復活しようとしています。ジャン・バルジャンは幼い妹のためにパンを盗んで19年投獄されてしまいます。しかし、ジャン・バルジャンの身分証には《危険人物》の烙印が押されてしまい、仕事をすることさえできません。

ある日、教会に前で倒れていると、司教から救われます。しかし、人の優しさを知らないジャンは、教会の食器を盗んでしまいます。再び逮捕されたジャンだったが、司教は「食器は彼に与えたものだ」と警察に言うのです。

ジャンは己の恥を知り、生まれ変わることを心に決めたのです。こうして1823年、ジャンは貧困者の味方である市長になるのでした。しかし、新しく警察署長になったジャベールはジャンの過去に疑念を抱くことになります。

そのころ、ジャンが経営する工場で働く貧しい娘ファンテーヌは、職場でのある騒動で解雇されてしまいます。ファンテーヌは、からかった男を突き飛ばし、警察に逮捕されそうになったとき、ジャンがかばうのです。

ジャンは、危険を察しして、フォンテーヌの娘コゼットを連れてパリに逃げることにします。やがて、二人は激動のフランスの歴史に飲まれることになります。ラストは涙があふれ出します。

『シカゴ』のロブ・マーシャル監督が再び仕掛けた『NINE』

映画初監督で、アカデミー賞作品賞を受賞したロブ・マーシャル監督が、『シカゴ』のスタッフを集結して挑んだ超豪華キャストで贈るミュージカル映画です。

スランプに陥ってしまった映画監督と彼を取り巻く多くの美しい女性たちへの愛に対する現実のプレッシャーと幻想の世界を描いた作品です。そして、出演陣はまさに豪華です。

主演の映画監督グイド・コンティーニを演じるのは、アカデミー賞主演男優賞を3回も受賞したダニエル・デイ・ルイス。3回も同賞を受賞したのは史上、彼だけです。この人が主演するというだけで、この映画の価値がいかなるものか分かります。

映画監督グイドの妻ルイザに『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』で、アカデミー賞主演女優賞を受賞したマリオン・コティヤール。『TAXi』シリーズ、『ダークナイト・ライジング』などのアクション映画にも登場します。驚くほど力強い歌声を聞かせてくれます。

グイドの愛人カルラには、『オール・アバウト・マイ・マザー』、『バニラ・スカイ』のペネロペ・クルス。彼女も『それでも恋するバルセロナ』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したオスカー女優です。

そして、『ラビット・ホール』、『アザーズ』のニコール・キッドマン。『ムーラン・ルージュ』に続いて、2回目のミュージカル映画出演となりますが、同作にくらべ本作はシリアスな役柄を演じています。やはり、彼女も『めぐり逢う時間たち』でアカデミー賞主演女優賞を受賞しています。

グイドの友人のデザイナー役で、『007』シリーズのM役で有名なジュディ・デンチも華麗なステップと力強い歌声を披露してくれます。彼女もまた『恋におちたシェイクスピア』で、アカデミー賞助演女優賞を受賞したオスカー女優です。

グイドの母親役でソフィア・ローレンが登場するのにも驚かされました。登場時間は短いものの、大女優の存在感、風格があります。この方も『ふたりの女』で、アカデミー賞主演女優賞を受賞したオスカー女優です。

メイン・キャストがすべてオスカー俳優を集めることができたというのも、ロブ・マーシャル監督の前作『シカゴ』がいかに素晴らしく、本作が期待されていたことが伺えます。

映画監督のグイドは、新作映画の制作に行き詰まっています。タイトルと主演女優は決まっているものの脚本は進まず、記者会見中に逃げ出してしまいます。ホテルに逃げたグイドは愛人のカルラを迎え入れるのだが、関係者に見つかり、そこで撮影することになります。

撮影所では、妻のイルザとカルラが鉢合わせしてしまい、ビジネスとプライベートの狭間で悩むグイドには昔の女性たちの幻影たちが次々と現れます。やがて、妻は彼の元を去り、妻を失ったグイドは新作映画の制作を断念します。そして、2年間抜け殻のような彼の元に昔ながらの友人のデザイナー、リリーが訪れます。

ラスト・シーン、グイドが静かに口にします・・・「アクション」。その映画のタイトルは『NINE』、思わず鳥肌が立つようなシーンです。エンド・タイトルで撮影中の練習風景が映し出され、俳優陣の必死な姿を観ることができるので、最後までお楽しみください。

ミュージカル映画を再び世に知らしめた『シカゴ』

2000年前後、アメリカ映画界はCGの台頭で、SFや超大作が好まれるようになり、ミュージカル映画ヒットしないという風潮にありました。しかし、それを覆した傑作が、この『シカゴ』です。さらにこの作品は、アカデミー賞作品賞、ゴールデングローブ賞作品賞を受賞するなど、数々の賞を総なめしています。

メイン・キャストはレニー・ゼルウィガー、リチャード・ギア、キャサリン・セタ・ジョーンズの豪華トリプル主演です。監督は、その後も『NINE』で、やはり好評を博したロブ・マーシャルが務めます。

『ブリジット・ジョーンズの日記』で、アメリカ人でありながら、イギリス英語をマスターしてアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたレニー・ゼルウィガーは、本作でもアカデミー賞主演女優賞でノミネートされています。

『真実の行方』、『愛と青春の旅立ち』のリチャード・ギアもタップ・ダンスを披露してくれますが、演技がいいだけに、正直違和感を覚えます。しかし、調べてみると彼は過去にミュージカル経験があるとのことでした。

リチャード・ギアは、本作では、ゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞しています。実は非常に多くの作品に出ているのですが、賞レースには縁がなく、賞を受賞したのは本作だけなのです。

そして、主演を喰ってしまったのが、『マスク・オブ・ゾロ』、『トラフィック』のキャサリン・セタ・ジョーンズです。圧倒的な美貌と自信に満ちたセクシーな様がこの映画を彼女のものにしています。本作ではアカデミー賞助演女優賞を受賞しました。

ストーリーは、ミュージカルにはあまり観ないヘヴィな内容となっているのですが、なぜか軽快なコミカルな展開をします。演者の吹き替えなしの歌とダンスも元気を与えられます。正直、とても面白い映画です。

1920年代前半のシカゴ、スターになることを夢見るロキシー・ハート(レニー・ゼルウィガー)は、歌手ヴェルマ・ケリー(キャサリン・セタ・ジョーンズ)に憧れていました。しかし、ヴェルマは浮気した夫と自分の妹を殺してしまいます。翌日、何食わぬ顔でショーに出演するヴェルマの元に警察がやってきて、逮捕されます。

それかひと月後、ロキシーは愛人との口論末、相手を撃ち殺してしまいます。すぐに逮捕され、留置場に送られます。ところが、留置場で憧れのヴェルマに出会うのです。ヴェルマには、弁護士ビリー(リチャード・ギア)がついています。

ロキシーは、ヴェルマと仲良くなろうとしますが、ヴェルマはそれを拒否します。ところが、ビリーがロキシーの弁護につき、マスコミ報道を捜査し、一夜にしてスターになるのです。ヴェルマはロキシーに二人でデュエットを組むことを提案します。

しかし、今度はロキシーがそれを拒否し、二人はライバル関係となっていきます。その後、話は二転三転していくのですが、殺人に刑務所など、重き内容となっているのですが、不思議にこれが妙に軽快なコミカルに展開するのです。

見終わってみると、キャサリン・セタ・ジョーンズのヒールぶりのイメージが強く残る映画でした。

この声で、夢への扉を開けてみせる!『バーレスク』

歌手になることを夢見る若い女性が、多くの障害を乗り越え、その夢を叶えていくサクセス・ストーリーを描いたミュージカル映画です。年の差の女性コンビがアメリカン・ドリームを勝ち取る様は、観る者すべてに元気を与えてくれます。

主演を務めるのは、本物の世界的ミュージシャン、クリスティーナ・アギレラとオスカー女優のシェールによるW主演となります。ちなみにこの二人の年の差コンビは、クリスティーナ・アギレラが1980年生まれ、シェールが1946年生まれです。

クリスティーナ・アギレラは、オーディション番組の審査員を務めるなど、その歌唱力は抜群です。さすがは、世界的ミュージシャンです。劇中、彼女が注目を浴びるきっかけとなるアカペラのシーンは鳥肌が立つほどです。

もう一人の主演、シェールはオープニングで見事なスタイルのタイツ姿で魅了してくれます。ちなみに撮影時は、65歳・・・。正直、驚きです。これほどきれいな65歳にはお目に掛かったことはありません。ハリウッド女優の凄さに圧倒されます。彼女は、1987年『月の輝く夜に』で、アカデミー賞主演女優賞を獲得しています。

この年の差Wヒロインの描くサクセス・ストーリーです。歌手を夢見る若いアリは、アイオワの田舎町から、チャンスを得るためにロサンゼルス出てきます。仕事を探し途方に暮れているとき、テスという女性が経営する《バーレスク・ラウンジ》というクラブを見つけます。

アリは、毎晩セクシーなダンサーがその華やかな舞台に感激し、半ば無理矢理ウェイトレスとして働くことになります。そして、働きながら舞台に上がるチャンスを狙うことになります。しかし、実際は《バーレスク》では、ショーとは名ばかりで、歌手は口パクばかりで、お客もたいして歌手には興味を持っていなかったのです。

ある日、ダンサーの一人が妊娠して、その代役としてアリが舞台に上がるチャンスを得ることになります。さらに、健気なアリは、問題の多いニッキに変わってソロで踊ることになります。舞台裏では、舞台に上がるために激しい争いが繰り広げられていたのです。

起こったニッキは、アリの公演中に、BGMの音源コードをスピーカーから抜き、マイクの音声を切ってしまいます。アリは当然、困惑して舞台上で固まってしまいます。慌てたスタッフは、ショーを中断させるためにカーテンを下げ始めます。しかし、それが逆に大きなチャンスをつかむことになります。

すると、アリは意を決してマイクに頼ることなく、アカペラで歌い始めます。アリの歌声は、ホールに響き渡り、店の客はもちろん、スタッフたちも唖然とします(当然、映画を観ているアナタも)。公演は大成功を収め、それからというもの、テスの指示で、アリがメインとなり舞台公演が続きます。

アリのパワフルなステージは瞬く間に評判となり、マスコミにも取り上げられるようになります。それからというものバーレスクは連日客が押し寄せ、大盛況となりのですが・・・。実はバーレスクにはある問題を抱えていて、存続の危機にあったのです。

後半のストーリーが頭に残らないほどのクリスティーナ・アギレラの歌唱力に圧倒されます。