1899年のフランス、パリのモンマルトル。その街には、ナイトクラブ《ムーラン・ルージュ》がある。毎夜、毎夜、多くの者が集まり酒を飲み明かし、歌い、踊り回ります。その《ムーラン・ルージュ》を舞台に、若き貧乏作家と女優を目指す踊り子の恋愛ミュージカル映画です。

抱いていたイメージとは、まるで違っていた派手な演出に驚かされました。そして、使われている楽曲も、1899年らしくない、ビートルズ、エルトン・ジョン、マドンナなど親しみ深い曲が多いのにも驚かされ、演出の度胸を買います。

ラブストーリーのミュージカルでありながら、その展開はまるでコメディ映画。そして、派手なセット、豪華な衣装。まるで遊園地のアトラクションに載っているスピード感なる映像美です。ちょっと他のミュージカル映画とは異なる感覚を味わうことができます。

主演は『めぐり逢う時間たち』、『ラビット・ホール』のオスカー女優のニコール・キッドマンと『トレインスポッティング』、『スター・ウォーズ』シリーズのユアン・マクレガーのW主演です。この二人の吹き替えなしの歌とダンスを堪能できます。

ニコール・キッドマンは、《ムーラン・ルージュ》で最も売れている踊り子サティーンを体当たりで演じます。その美しさは目を見張ります。そして、可愛くもあり、キュートな面も魅せながら、長けた歌唱力で映画を盛り上げます。

なお、本作でニコール・キッドマンが身につけたネックレスは、1308個ものダイヤモンドを散りばめたもので、3億円の価値があり、映画のために作られたジュエリーとしては史上最高額です。劇中も何度も「女はダイヤモンドが好物」という歌詞が出てきますが、本物を使うとは驚きです。

ユアン・マクレガー演じる貧乏作家クリスチャンの役は名だたる俳優がオーディションを受けたらしく、歌唱力を買われユアン・マクレガーが選ばれたそうです。確かに、劇中の彼の歌は思っていた以上に上手です。映画が始まってすぐ、彼の口から『サウンド・オブ・ミュージック』が聞くことができたのもびっくりです。

また、ジョン・レグイザモが小さな男の役を演じるのですが、はじめ観たとき、彼とは分かったのですが、それにしても小さい?別人?と思ってしまいますが、撮影中はずっと膝を曲げての撮影で、膝から下はCG処理をしていたそうです。そして、その過酷な撮影のため、撮影後足の感覚を失い、治療を受けたそうです。

イギリスの若者クリスチャンは、愛と自由の物語を書く作家になるため華の都パリで住むことにします。しかし、自分には恋愛経験がないため、物語を書くことができません。そんなとき、部屋の天井を突き破って大男が落ちてきます。

二階には、《ムーラン・ルージュ》でショーを行う芸人たちの練習場があったのです。いつの間にか、その連中に巻き込まれることになってしまったクリスチャンは、早々と《ムーラン・ルージュ》で出向くことになり、手違いでクラブ一の花形スター、サティーンと二人きりで会う手配になってしまい、二人は恋に落ちていくのです。

目が疲れるほどの派手な映像とノリのいい音楽で、19世紀のパリの社交場を描く異色ミュージカル映画をご堪能ください。